ここでは弊社で「できること・できないこと」をまとめました。
ご自身の事情にあった出版社かどうか検討していただければ幸いです。
長文ですが、最後まで読んでいただけると博士論文の出版にとてもよくあったシステムを採用しているとご納得いただけると思います。
弊社では本の仕様を、
・判型:A5版、並製本
・カバーなし
・表紙デザイン:博論社統一装丁デザイン(下記図)
で統一し、総出版費用を下げることにより、低コストで博士論文を出版できます。
→さらに、非常勤の方には、お得な割引制度があります(日本語論文の場合に限ります)。
博論社統一の装丁デザインです。色味を変えて差別化します。
弊社は「博士論文(人文学)の出版をとおして、学問成果の埋没を防ぐ」ことを経営理念としています。また、本の価値を「売れること」にではなく「学術書として完成度が高いこと」においています。
学術書として博士論文を価値あるものにするために、編集・校正に重点をおいています。
誤字・脱字、表記の統一、日本語としておかしなところ、差別用語などをチェックし、目立たないけれども一番労力と時間のかかる校正に力をいれています(外国語論文の場合は、弊社での校正は入りません)。
弊社はISBN出版者記号を取得しています。出版者記号は出版者(発行所)だけが取得できるものです。弊社でISBNコードを取得される場合は、奥付などに記載される「発行人、発行所」は弊社名義となります。
納入義務は1部ですが、2部納入すると、東京本館と関西館に所蔵され「保管に適した環境の書庫で、可能な限り永く保存」されます(国立国会図書館ホームページより)。弊社が代行して2部を納本いたします。
次の②のしくみをとっているため、著書を販売する際、費用が一切かかりません。
オンデマンド印刷は注文に応じて一部ずつ印刷・製本できる印刷技術です。
オンデマンド印刷のメリット・デメリットをここでは数点ほど挙げておきましょう。
[メリット]
①絶版がありません。
②在庫を抱えなくてすむ(倉庫代等がかからない)
③本の購入者と弊社とのあいだに注文部数に応じた直接取引が可能になります(下図)。
本の定価には「印刷・製本費」「手数料」が含まれ、送料も購入者が負担しますので、著者は、印刷・製本費、流通費など販売にかかわる費用の負担がない仕組みとなっています。
[デメリット]
①注文が入ってから必要部数を刷るため、通常の販売形態(書店で購入)と比べ、時間がかかります。ご注文の翌営業日からおよそ6営業日で発送します。
②受注生産商品のため、返品は受け付けられません。
博論社の出版物は、ネット上で依頼を受けてのオンデマンド出版なので、全国の書店の店頭には本が並びません。
一見、大きなデメリットにも思えますが、弊社はそうは考えません。
本は通常、出版社から取次をへて、書店に並びます。
しかし、書店で売れなければ逆のルートで出版社まで戻り、在庫となります。
出版社は、それなりの部数を刷らなければ利益にならないので、多くの在庫を抱えるリスクを負います。
多くの出版社が、それほど売り上げがみこめない博士論文の出版に二の足を踏んだり、高額の出版費用の負担を求めるのはそのためです。
博士論文の場合、購入者は社会のなかの特定の層に絞られます。
不特定多数の人の目に留まらなければならないエンターテイメント作品とはまったく異なる性格をもつ著作です。
弊社では、博士論文専門の出版社として、博士論文という著作の性格に合わせた合理的な流通のしくみ(高品質・低価格なオンデマンド出版を採用し、ネット上での販売に限定したこと)を作りました。
この仕組みのおかげで、総出版費用を抑えることができ、弊社も著者も不要なリスクを負担しなくてすみます。
博士論文の販売で最も重要なことは、必要としている研究者に、絶版にせずに・気軽に・末永く・いつでもどこでも(日本だろうが海外だろうが)書籍を購入できるようにすることであり、全国の書店に並べることではないと考えます。
*とはいえ、購入する前にどこかで手にとっていただければと思い、2022 年7月から、弊社は神保町にある共同書店、PASSAGE の〈一棚店主〉になりました。狭いスペースではありますが、 出版した著書は PASSAGE の棚に並びます。
書籍の著作権は当然のこととして、所有権、出版権も著者に帰属します(契約書に明記されます)。
特に、出版権を著者が持つことは、大変重要なことだと考えます。
出版権があれば(弊社はオンデマンド出版なのでそもそも絶版がありませんが)、出版社の都合で、「品切れ重版未定」となることを回避できます。
それに印刷データの所有権も著者に帰属しますので、書籍のデータ(PDFやインデザインデータ)を講演や授業などで使用することもできます。