外国人研究者の日本での出版状況


日本で博士号を取得した外国人留学生は、博士論文を日本で出版できているのだろうか。

日本人研究者ですら、博士論文の出版は難しいのが現実であるから、恐らく大変厳しい状況に置かれていることが予想される。

日本学術振興会では、毎年、科学研究費助成事業(研究成果公開促進費)で「学術図書」の補助事業を行っている。本事業の中で、外国人研究者はどれくらい採択されているのだろうか。外国人留学生の博士論文の出版状況を示すデータがないため、外国人研究者が科研費の学術図書でどれくらい採択されているかを目安にしてみたい。

 

学術図書(人文科学)採択件数に占める外国人研究者数(2011~2021年度)

 

グラフのオレンジの部分が外国人研究者だが、大変少ないのがわかる。10年間で2.5~7%の間を推移しており、1割にも満たない採択状況は外国人研究者・留学生にとって非常に残念なものだろう。

科研費で補助が出なければ、外国人研究者が商業出版で学術書を出版できる確率はとても低いと思われる。

博士論文ならなおさらだ。


 

出典:日本学術振興課WEBサイト、研究成果公開促進費採択一覧(2011年度~2021年度)より、博論社作成